護身術としての格闘技6(合気道)
今回は合気道を護身術として習うことについて書いていきます。
オススメ度としては★★⭐︎⭐︎⭐︎といったところです。
合気道について、あまりどういった格闘技、武道なのかイメージが薄い方が多いと思います。簡単に説明させて頂きますと、相手の攻撃を捌き、あるいは、当て身により相手の体勢を崩してから投げ技や固め技をかける武道です。人間の関節、筋肉といった体の構造や体重移動の力を利用する合理的な技が多いです。
合気道を護身術として習うメリットについて
・投げ技があるのできまると大ダメージを与えられる
・制圧術として使用するのに有効
・極めると体格差があまりハンデキャップにならない
・受け身が上手くなる
といったところでしょうか。
次にデメリットについて
・打撃系の格闘技に対して対応できない
・速習性がない
・極めるまでは体格差、パワーの差があると技がほとんどきまらない
・寝技がない
では、シチュエーションごとに合気道を護身術として習う有効性を考えていきます。
1.喧嘩的(1対1、武器なし)のシチュエーションの場合
喧嘩的なシチュエーションも段階的に危険度が変わります。合気道は初期の段階では有効なケースが多いと思います。
たとえば、胸ぐらを掴まれる場合の対処は合気道の十八番でしょう。合気道は腕や手を簡単に取れる状況下においては技がきまりやすいです。
また、相手が格闘技未経験で腕を振り回してくるタイプでも合気道は有効かもしれません。というのも、腕を振り回す人は体勢が崩れやすく、比較的打撃が読みやすいからです。
しかし、相手が打撃系の格闘技経験者の場合はかなり不利になります。たとえば、ボクサーは自分の距離を保ったままパンチを繰り出します。そして、素人と違ってパンチをすぐに引きますので腕を取ることもほぼ不可能です。
また、よほど熟練者でない以上は体格差、パワー差があると投げ技、固め技をかけることもできません。
2.対武器(銃を除く)的なシチュエーションの場合
実際に、武器を取り上げる場合には関節や筋肉等の体の構造を利用します。合気道の技術は武器を取り上げる場面で大いに役立つでしょう。
しかし、難しいのは武器を持った腕、手を取るまでです。刃物による襲撃の場合にはそこに至るまでに刺されるか、切られてしまいます。急所さえ刺されなければ大丈夫といった意見も聞きますが、急所でないところでも出血多量による死のリスクがあります。また、どこを刺されても動揺や痛みにより急に動きが鈍くなると思います。他の格闘技の紹介でも書きましたが、素手で武器に対抗することはかなり危険です。
3.リンチ(複数人の襲撃)的なシチュエーションの場合
合気道では、レベルが上がると多人数を相手にする「乱取り」という練習を行います。これは、複数人を相手にした場合のポジショニングを覚えるためにかなり有効なトレーニングです。
しかし、当然ですが複数人が本気で1人に殴りかかったりタックルしたり武器で攻撃するわけではありません。あくまで、対応できるスピード感で襲うのです。実際に襲撃される場合にはこちらの都合を考えて襲うわけではありませんので実戦とはまた違った感覚となると思います。本気で複数人に襲撃されると全員を倒すことは難しいということを知る意味では大切な経験になります。
私は、合気道は護身術に取り入れるとしても上級者向けではないかと感じています。揉み合いの中で偶然に腕を取れる状況ができて咄嗟に合気道の技を出せるようになれば理想です。しかし、そこに至るためにはかなり練習を積まなければなりません。そういう意味で速習性や簡単さを求められる護身術には不向きかと思います。